なぜ兵庫県洲本市に棲息する彼らは、これほどまでに人間や同種に対して寛容なのか。霊長類学者たちも熱い視線を送るその理由は、淡路島という地理的条件と豊富な山林資源、そして施設による絶妙な給餌管理にある。
本来、ニホンザルは厳しい縦社会を築き、群れ同士の抗争や順位付けの喧嘩が絶えない。しかし、淡路島の群れでは上位の猿が下位の猿を追い払うことなく、同じ餌場を平和に共有する。この「優しさと寛容さ」こそが、この地域のニホンザルが持つ独自の特徴だ。
緑豊かな淡路島の山々がもたらす豊かな木の実や昆虫、そして人間との良好な距離感が、ストレスの少ない環境を維持している。自然の厳しさと温かさが共存するこの土地だからこそ、他では見られない奇跡のコミュニティが維持されているのだ。