富士急ハイランドが誇ったスピードスターの歩みは、常に限界への挑戦そのものでした。2001年12月21日に登場した初代「ドドンパ」は、スタートからわずか1.8秒で時速172kmに達し、当時ギネス世界記録に認定されていた記録を更新して世界最速・最大加速度の座を射止めました。その後、タワー部分を巨大な垂直ループへと換装する大規模改修を経て、2017年7月15日に「ド・ドドンパ」として新生。最高速度は時速180kmへと引き上げられ、到達時間は発射後わずか1.56秒という異次元の領域へ突入しました。
この驚異的なダッシュ力を可能にしていた心臓部が、圧縮空気の爆発的な圧力をピストンに送り込んでワイヤーを瞬時に巻き取るエアーランチ方式の仕組みです。一般的なリニアモーター(電磁誘導)方式が滑らかに立ち上がるのに対し、エアーランチは文字通り背後から巨大な大砲で撃ち出されるような凶暴な瞬発力を生み出します。
発射時に乗客にかかる水平加速度は約3.27G、さらにコース設計上瞬間的に身体を襲う体感G数は約3.75Gから最大4G近くにまで達しました。これは宇宙飛行士がロケット打ち上げ時に受ける重力負荷に匹敵し、体験者の多くが「息を吸い込むことすらできない」「視界の端がホワイトアウトし、顔の肉が後方へ張り付くような衝撃だった」と証言しています。人類が一般のアトラクションで日常的に耐えうる物理的限界の境界線上に、ド・ドドンパは存在していました。