エメット・ブラウンという風変わりな科学者が世界中で愛された最大の要因は、名優クリストファー・ロイドによる卓越した役作りに尽きる。ロイドは紋切り型の「マッドサイエンティスト」を演じることを潔しとしなかった。彼が目指したのは、物理学者アインシュタインの無邪気な知的好奇心と、名指揮者レオポルド・ストコフスキーの劇的な情熱の融合だった。
目を大きく見開く独特のオーバーアクション。その裏に潜む、親友を温かく見守る慈愛に満ちた眼差し。ロイドは計算し尽くされた身体表現と直感的なアドリブを緻密に重ね合わせ、破天荒でありながら誰よりも人間味にあふれる博士像を創り上げた。彼以外の俳優がこの白衣をまとっていたら、この奇跡的な調和は生まれ得なかったはずだ。