経済的メリットの裏側で、日々のQOL(生活の質)に直結する住環境や通学の実情はどうなっているのでしょうか。現地取材と寮生の手記から見えた生々しい生活実態を検証します。
「バス+電車」で約1時間、朝のダイヤ乱れが最大の難関
三鷹寮の所在地は東京都三鷹市新川であり、最寄りのJR吉祥寺駅や三鷹駅、京王線仙川駅のいずれからも離れたバス圏にあります。多くの東大生は、宿舎前から路線バスで吉祥寺駅に出て、そこから京王井の頭線に乗り換えて駒場東大前駅を目指します。
公称では「通学時間約45分」と案内されることが多いものの、平日朝の吉祥寺通りは慢性的な渋滞に見舞われます。雨天時にはバスが時刻表通りに運行せず、駒場キャンパスの1限(8時30分開始)に滑り込むためには午前7時15分前後に寮を出る必要があるというのが寮生共通の証言です。「自転車で吉祥寺駅まで激走して電車に乗る」「仙川駅ルートを開拓する」など各々の工夫は見られますが、キャンパス至近に住む同級生と比べると時間的ディスアドバンテージは否定できません。
居室の設備とプライバシー|狭小だが完全個室
居室はワンルーム形式の完全個室で、広さは約13平方メートル(約8畳弱)です。各部屋にミニキッチン、IHクッキングヒーター、机、ベッド、エアコン、そしてトイレ・洗面・浴槽が一体となった3点ユニットバスが完備されています。
昭和のバンカラ寮のような「相部屋」「共同風呂」を想像して敬遠している受験生にとっては、プライバシーが完全に確保された空間は嬉しい驚きとなります。ただし、1990年代前半の竣工から年数が経過しているため、配管設備の古さや冬場の結露、壁の遮音性の低さ(隣人の電話の声が微かに漏れるなど)を指摘する声は少なくありません。
改善が進むネット環境と強固なセキュリティの女子フロア
オンライン授業や研究データの送受信に欠かせない三鷹寮のネット環境は、過去に「夜間に回線が極端に遅くなる」と不満が噴出していました。しかし、学内ネットワークの増強工事と各室への個別光回線導入プランの整備が進んだ結果、現在ではZoom講義や動画視聴も概ねスムーズに行える環境が整っています。
また、防犯面を重視する受験生にとって心強いのが女子フロアの存在です。居住棟の一部に専用のセキュリティ区画が設けられており、専用キーがなければフロア内に立ち入れない多重構造が採用されています。常駐の管理スタッフや防犯カメラの設置など、都内の格安アパートに一人暮らしするよりも遥かにセキュアな環境が構築されています。