地震に対する不安が頂点に達すると、SNS上では非科学的な情報が瞬く間に拡散します。冷静な判断力を奪われないために、流布しやすい代表的な誤解と盲点をファクトチェックします。
誤解1:「地震雲」や「深海魚の出現」で大地震の日時を特定できる
大気電気学や海洋生物学の研究において、特定の雲の形状や深海魚の座礁と直下型大地震の発生時期・場所を科学的に結びつける実証データは存在しません。気象庁も「現在の地震学では、日時と場所を特定した地震予知は不可能」と公式に断言しています。ネット上に流れる「〇月〇日に東京壊滅」といった予言めいた投稿は、不安に付け込んだデマかPV稼ぎのフェイク情報です。
誤解2:「新耐震基準のRC造マンションなら何もしなくて安全」
1981年以降の新耐震基準、あるいは2000年基準で建てられた建築物は、「震度6強から7の地震で倒壊しない(人命を保護する)」ことを目標に設計されています。これは「倒壊しない」だけであり、「無傷で住み続けられる」ことを保証するものではありません。室内の家具転倒対策を怠っていれば、固定されていない大型冷蔵庫やテレビが弾道ミサイルのように飛来し、室内にいる人間を直撃します。建物の安全性と、専有部分の安全確保は完全に別問題です。
誤解3:「被災したらすぐに近くの指定避難所へ逃げればいい」
東京都の人口は約1,400万人を超えていますが、区市町村が指定する避難所の収容能力は都民全体の約2〜3割程度に過ぎません。避難所は本来、家屋が倒壊・全焼して生活拠点を失った避難者のための最後の砦です。倒壊を免れた堅牢なマンションに住んでいる住民は、原則として「在宅避難」を継続することが東京都の公式防災計画でも前提とされています。避難所に行けば食料や寝床が提供されるという思い込みは、都市部では致命的な誤算を招きます。