小説『手紙』は、発売から年月が経過した現在でも書評サイトやSNSで絶賛され続け、中高生の読書感想文の定番テーマとして選ばれ続けています。読者から寄せられる感想の多くは、「善悪の二元論では割り切れない」「自分が同じ立場なら差別しないと言い切れるか」という自己への問いかけです。
読書感想文において取り上げやすい切り口として、以下の3つのテーマが挙げられます。
- 差別の正当性と倫理:社会が加害者家族を避ける心理は本当に「悪」なのか
- 家族の絆とエゴ:兄の犯行は弟への愛情だったのか、それとも身勝手な独善だったのか
- 本当の贖罪とは何か:刑期を終えることと、社会の中で被害者・遺族と向き合い続けることの差異
安易なハッピーエンドを用意せず、読者一人ひとりに重い宿題を手渡すような東野圭吾の筆致こそが、時代を超えて読み継がれる確固たる理由といえます。