1969年12月号、小学館の学年別学習雑誌で一斉に幕を開けた新連載。しかし、その前月の予告ページには「出た!出た!ついにでた!」という抽象的な煽り文句とシルクハットから飛び出す謎のキャラクターのシルエットが掲載されていたに過ぎません。作者である藤子・F・不二雄先生の頭の中にさえ、具体的な主人公のビジョンがまだ存在していなかったからです。
当時の制作現場は、まさに極限状態でした。締め切りが刻一刻と迫る中、アイデアが浮かばず苦悩していた藤子・F・不二雄先生。自宅で飼っていた猫の毛繕いをする姿と、娘が遊んでいた起き上がり小法師の玩具。その二つが脳内で奇跡的に衝突し、あの愛くるしい二頭身の猫型ロボットが誕生したのです。遺されたアイディアノートの余白には、焦燥と直感が渦巻く生々しいスケッチが残されています。この土壇場でのひらめきこそが、後に金字塔となる児童SFギャグ漫画の第一歩となりました。