公式発表に至るまで、ファンの間では「九条間人 キャスト予想」や「烏丸真司 俳優候補」を巡る白熱した議論がネット上の掲示板やSNSで展開されていました。真鍋昌平作品の実写化といえば、前作『闇金ウシジマくん』における山田孝之の圧倒的な怪演が伝説となっています。そのため、主人公・九条役にも同等以上の怪演ぶりと圧倒的な存在感を持つ俳優が求められていました。
当時のネット予想で頻繁に名前が挙がっていたのは、山田孝之をはじめ、オダギリジョー、綾野剛、菅田将暉といったアンチヒーローを演じ慣れた実力派たちでした。特に「世捨て人のような風貌でありながら、法廷に立った瞬間に獲物を屠る獣のような鋭さを見せる」という九条の二面性を表現できる人物として、30代後半から40代前半の演技派俳優に期待が集中していた経緯があります。
一方、烏丸真司役には、名門法学部を首席レベルで卒業したインテリジェンスと、九条の冷徹な流儀に直面してモラルが崩壊していく過程を繊細に演じ分けられる若手俳優が候補に挙がっていました。具体的には坂口健太郎、赤楚衛二、杉野遥亮などの名が取り沙汰されていましたが、最終的に松村北斗のキャスティングが発表された際、SNS上では「理知的でありながら内面に仄暗い葛藤を抱える烏丸のイメージにドンピシャだ」と大きな称賛と納得の声が広がりました。
制作発表時のインタビューにおいて、主演の柳楽優弥は「九条という男は、正義の味方でも悪の権化でもない。ただひたすらに法律という道具を無機質に使いこなす職人。その虚無感とプロフェッショナリズムの共存を表現するために、台詞のトーンから歩き方、呼吸の浅さに至るまで監督と徹底的に突き詰めた」と語っています。この徹底した役作りが、下馬評を超えた圧倒的な説得力を生み出しています。