栄光の歴史の一方で、時に厳しい批判にさらされてきたのが「視聴率の低迷」です。歴代期間平均ワーストとなってしまったのが、2019年の宮藤官九郎脚本『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(期間平均8.2%、単話ワースト3.7%)でした。
なぜ高い評価を受けるクリエイター陣を結集しながら、数字の上では苦戦を強いられたのでしょうか。メディアアナリストの分析や当時の視聴者調査からは、明確な3つの障壁が浮かび上がってきます。
第1に「近現代劇に対する視聴者の抵抗感」です。大河ドラマの主たる支持層であるシニア世代は、甲冑や着物を纏った武将たちが天下を争う「王道時代劇」を強く求める傾向があります。明治から昭和の激動期をスピーディーなカット割りで描いた演出は、従来の固定ファンを戸惑わせる結果となりました。
第2に「複雑な時系列と登場人物の多さ」です。『いだてん』は中村勘九郎演じる金栗四三と、阿部サダヲ演じる田畑政治の二人の主人公を軸に、落語『富久』を狂言回しとして巧みに時間軸を行き来させました。この緻密な構成は熱心なドラマファンから絶賛されたものの、夕食を取りながら気軽に見たいライト層には「難解」と映ってしまったのです。
また、2012年の『平清盛』(期間平均12.0%)では、平安末期の埃っぽさやリアリティを追求した「画面の暗さ・汚し」が当時の県知事発言をきっかけに論争となり、2015年の『花燃ゆ』(期間平均12.0%)では主人公の知名度不足とホームドラマ路線のブレが離脱を招くなど、テーマ選びと演出手法が数字を大きく左右してきました。