調理における最大の分岐点は、使用する豆腐の種類です。木綿豆腐と絹豆腐では製造工程が根本から異なり、含まれる水分量やタンパク質密度、テクスチャーに大きな開きがあります。「木綿豆腐と絹豆腐の崩れない焼き方」を成立させるためには、それぞれの物性を把握したうえでアプローチを変える必要があります。
両者の物性と調理特性、仕上がりの違いを客観的な指標で比較しました。
木綿豆腐は一度凝固した豆乳を崩し、圧力をかけて上澄み(ホエイ)を絞り出して再形成するため、タンパク質の立体構造が密で頑丈です。フライパンのなかで多少揺すったり、ヘラで力強く押し返したりしても角が崩れにくく、食べ応えのあるステーキに向いています。
一方の絹豆腐は、濃度の高い豆乳に凝固剤を加えてそのまま固めるため、プリンのような網目構造をしています。水分含有量が高く崩れやすさは段違いですが、片栗粉を均一にまとわせて表面を焼き固めると、「外側はパリッ、内側はとろり」という料亭の揚げ出し豆腐に匹敵する口どけを生み出せます。扱いにはフライパンへ置いた後は最低2分間は触らないという厳格なルールが必要です。