長年、築年数の経過した大型商業・オフィスビルは「解体して高層化する」ことが市場の自明なロジックであった。採算性と容積率の極大化を優先するアプローチだ。しかし、近年の環境負荷低減に対する要請や建築資材費の高騰は、その前提を根底から揺るがしている。
解体に伴う膨大なCO2排出量を回避し、既存の骨組み(スケルトン)を再利用するリノベーション手法は、投資家にとっても環境性能を示す指標として重要視されるようになった。解体という安易な選択を避け、建物のコンクリート躯体を再評価する動きは、現代の都市再生における世界的な潮流と一致している。