メディアやSNSで混同されがちな存在がフリーランニングだ。歴史を紐解くと、この二つは明確な目的の違いによって分岐した。ダヴィッド・ベルと共に初期のムーブメントを牽引したセバスチャン・フーカンは、移動の絶対的な効率性だけを追求するのではなく、個人の創造性や美しさ、魅せる動作を取り入れた表現技法へとアプローチを広げた。
「A地点からB地点へいかに素早く移動するか」という目的を第一に掲げるパルクールに対し、フリーランニングは「動きそのものをいかに美しく、独創的に見せるか」に重きを置く。バックフリップや宙返りといったアクロバティックな要素は、フリーランニングの象徴とも言える。現在では互いの技が交流し合う場面も多いが、根底にある思想的な軸の違いを知ることで、パフォーマンスの観賞眼は一気に深まる。