テレビ番組のひな壇トークや音楽番組のパフォーマンス中、ふとした瞬間に芸能人の頭頂部が白く抜けて見え、ネット掲示板やSNSで「分け目はげではないか」と話題になるケースが後を絶ちません。こうした噂が生まれる背景には、視聴者が想像する以上に過酷な「撮影現場の視覚環境」が存在します。
テレビスタジオでは出演者の顔の陰影を消し、肌を明るく美しく見せるために、頭上から強力なトップライト(キーライト)を照射します。この光線が頭皮に垂直に当たると、毛髪と毛髪の隙間にある頭皮が光を反射し、白飛び現象(ハレーション)を起こします。日本人の黒髪と白い頭皮はコントラスト比が極めて高いため、毛量が十分に保たれている人物であっても、光の加減ひとつで「分け目が広がって薄く見える」状態が人工的に作られてしまうのです。
さらに、地上波デジタル放送やYouTubeの4K配信が標準化したことで、過去のアナログ映像では潰れていた髪の毛1本1本のディテールや頭皮の隙間まで克明に描写されるようになりました。画面を一時停止したスクリーンショットがSNSで拡散されることで、本来は問題のない一時的な見え方が「薄毛の証拠」として一人歩きしてしまうのが実情です。