今回の疑惑で特に色濃い影を落としているのが、製薬・医療産業と大学研究室との濃密な関係性だ。新薬開発や医療機器の臨床研究において、東大のトップ教授が持つ影響力は絶大である。企業側が提示する「顧問料」や「講演料」という名目の金銭授受が、実際には特定の開発案件を優先的に採択させるための実質的なキックバックとして機能していた実態が明らかになりつつある。
産学連携は本来、大学の知恵を社会に還元しイノベーションを創出するための制度だ。しかし、そこに不透明な思惑と過剰な接待が介在することで、研究の公平性や客観性が著しく損なわれる。特定の企業にだけ有利な研究データが作成されたり、競合他社の画期的な技術が排斥されたりする事態が生じれば、被害を受けるのは最終的な利用者である国民にほかならない。