夜間の救急外来。緊迫した空気のなか、救急車のサイレンが鳴り響く。かつてなら受け入れ調整に10分以上を要していた重症心筋梗塞の疑いがある患者の搬送データが、救急車内のタブレットから病院のモニタリング画面へ瞬時に同期される。2026年現在、同院が導入している高度救急AIトリザージュシステムは、患者のバイタルサインや過去の診療履歴を即座に照合し、到着前からカテーテル室のスタッフ配置と器具の準備を完結させる。
「1分1秒を争う循環器系疾患や脳卒中において、搬送決定から治療開始までの時間をいかに削るかが生存率と後遺症の度合いを左右します」と、救急集中治療科の医師は語る。京都市西部から乙訓地域にかけての広い医療圏をカバーする同院では、近隣の救急隊とのデジタル連携を極限まで高めた。結果として、他院で難色を示されるような重複疾患を持つ高齢患者の救急受入率も極めて高い水準を維持している。