彼の代名詞でもあるあの気迫あふれる歓声。しかし最近の試合を丹念に追うと、その声の発声タイミングとトーンに明らかな変化が見て取れる。かつては自らを鼓舞し、相手を気圧すための「攻撃的な咆哮」であったものが、現在は自身のメンタルをフラットに戻すためのリセットボタンとして機能しているのだ。
卓球はコンマ数秒の判断ミスが失点に直結する。特に高速化が進む現代卓球において、感情の過剰な揺れは致命傷になりかねない。現在の張本は、ポイントを取った直後に激しく感情を爆発させつつも、台に付く瞬間には驚くほど静着な眼光を取り戻している。熱い血潮と冷徹な頭脳。この極限のアンバランサーこそが、相手選手にとって最大の不気味さとなっている。