通常であれば自然に統合されるはずのSTNRが、なぜ学童期や成人期になっても残存してしまうのでしょうか。小児神経発達の専門家や療育現場のリサーチによると、最大の要因として指摘されているのが「十分なハイハイ期間の欠如」です。
乳幼児期に床で十分に四つんばいになり、首を上げ下げしながら手足を交互に動かす経験は、STNRを脳内で統合させるための自然なトレーニングそのものです。しかし、現代の育児環境には以下のような発達の飛び越しを招く要因が存在します。
- 歩行器やジャンパー系遊具の早期多用:ハイハイを経ずに早くから立位を促してしまうケース。
- 床スペースの制約とフローリングの滑りやすさ:滑りやすい床環境により、ハイハイを嫌がり早期につかまり立ちへ移行する傾向。
- うつ伏せ遊び(タミータイム)の減少:窒息事故防止の観点から仰向け寝が定着した結果、覚醒時のうつ伏せ運動量が不足する事例。
- ベビーカーやチャイルドシートでの長時間の固定:自発的な全身運動の機会が物理的に制限される環境。
療育関係者の証言によると、「ハイハイをほとんどせずに1歳未満で歩き始めた子ども」において、就学後に座り姿勢の崩れや手先の不器用さを訴える割合が高い傾向が確認されています。身体を床に接地させ、重力に抗して頭部と手足を連動させる原初的な負荷体験の不足が、反射の残存に直結していると考えられています。