キャラクターグッズの延長線上にある土産物ラーメンが、なぜこれほどまでに食通を唸らせているのか。その最大の秘密は、原料となる小麦の選定と、それを形にする製造元の技術力にあります。
主原料には、北海道江別市で生産される「江別市ハルユタカ小麦」が惜しみなく使われています。ハルユタカは、国産小麦特有の豊かな風味と高いグルテン含有量を誇り、パンや麺にすると類まれなるモチモチ感を生み出す優良品種です。しかし、気候変動や病害に弱く、雨に当たると穂発芽を起こしやすいという致命的な弱点を抱えていました。その栽培の困難さから一時は「幻の小麦」とまで呼ばれ、生産量が激減した歴史があります。それを江別の農家たちが情熱と創意工夫(初冬播き栽培の確立など)によって復活させ、地元を代表する特産品へと昇華させました。
この希少な小麦を製麺するのは、江別市に本社工場を構える寒干しラーメンの名門「菊水」です。菊水が長年培ってきた「寒干し製法」は、油で揚げず、熱風で急速乾燥させることもせず、低温でじっくりと時間をかけて熟成乾燥させる独自技術。これにより、茹で上げた瞬間、まるで打ち立ての生麺をその場で茹で上げたかのような、滑らかな喉越しと力強い弾力が蘇ります。「菊水えべチュンラーメン」は、江別の農業と製麺技術の粋が結集した、極めて純度の高い地域連携プロダクトなのです。
ちなみに、パッケージで強烈な存在感を放つ江別市地域おこしキャラクター「えべチュン」の頭は、江別特産のレンガ造りになっています。ファンの間でしばしば疑問に上がる「えべチュンなぜ泣いてる理由」については、公式設定によると「江別産のハルユタカが美味しすぎて、感動のあまりいつも涙を流しているから」とされています。重いレンガの頭で飛べない切なさと、小麦の美味しさに打ち震える涙。このストーリー性も、手にとる消費者の心を掴むフックとして機能しています。