コの字縫いの基本構造は、向かい合う二枚の布の折り山に糸を「コの字型(梯子状)」に渡していき、最後に糸を引くことで折り山同士を引き寄せて密着させる仕組みです。一見難しそうに見えますが、針を運ぶルートさえ覚えれば誰でも寸分の狂いなく仕上げられます。
作業の全体フローは、以下の精密なステップに沿って進行します。
ステップ1:縫い始めの準備
縫い始めは、ほつれた箇所の約5mm手前(まだ既存のミシン糸が残っている健全な縫い目の中)からスタートします。針に糸を通したら末端に小さな玉結びを作り、布の「内側(裏側)」から外側に向かって、折り山の折り目スレスレに針を出します。こうすることで、玉結びは完全に布の内部へ隠れます。
ステップ2:向かい側の折り山を平行にすくう
糸が出た位置の「真向かい」にある生地の折り山に針を入れます。このとき、向かい合う点に対して針が直角に交差するよう意識し、折り目の山をすくう長さは均等に3〜4mmを目安にします。針先は布の繊維と平行に走らせ、裏側の綿を深くすくいすぎないよう注意を払います。
ステップ3:交互に針を進め「梯子」を形成する
針を抜いたら、再び真向かい(最初側の布)の折り山へ針を移動させ、同じく3〜4mm平行にすくいます。これを左右交互に繰り返していくと、二枚の布の間に糸が梯子の桟(さん)のように平行に並んでいきます。この段階では糸を無理に引き締めず、梯子状に見えている状態で問題ありません。
ステップ4:糸を引き締め、縫い目を消滅させる
3〜4往復(約1.5cm〜2cm)進んだところで、進行方向に向かって糸をスッと水平に引きます。すると、開いていた布と布が引き寄せられ、梯子状の糸が折り山の内側へと吸い込まれ、表側から糸が完全に消失します。
ステップ5:縫い終わりの固定
ほつれた穴の終端を5mmほど越えた位置まで同様に縫い進めます。最後は既存の縫い目に少し重ねるようにして針を出し、後述する特殊な玉止め処理を行って作業を完了します。