多くのタトゥースタジオでは、雇用保険や厚生年金が完備された正社員雇用ではなく、業務委託契約による完全歩合制を採用しています。スタジオ側が施術スペース、滅菌機器、消耗品、集客プラットフォームを提供し、アーティストが技術を提供する対価として売上をシェアするビジネスモデルです。
スタジオにおける彫り師の歩合制の相場は「スタジオ50%:アーティスト50%」から「スタジオ30%:アーティスト70%」の配分が標準的です。駆け出しの所属アーティストであれば取り分が40〜50%程度に留まることが多く、指名客を大量に抱える看板アーティストになれば60〜70%まで優遇される仕組みとなっています。
では、現場におけるタトゥーの施術料金の仕組みはどう設計されているのでしょうか。国内のスタジオでは、主に「サイズ制」と「時間制」の2つの料金体系が併用されています。
- ワンポイント・サイズ制:コインサイズ(500円玉大)で10,000円〜15,000円、タバコサイズで20,000円〜35,000円、ハガキサイズで40,000円〜60,000円程度。準備から施術完了まで1〜3時間で終わるため、若手アーティストの主な収益源になります。
- 大型カスタム・時間制(タイムレート):背中一面や長袖(腕全体)などの大型作品は、1時間あたり10,000円〜15,000円が国内の標準相場です。知名度のある有名彫り師になると、1時間あたり20,000円〜30,000円を超えるケースも存在します。
仮に時間単価12,000円で月に50時間の施術を行い、歩合率が60%だった場合、月の総売上60万円に対してアーティストの取り分は36万円となります。ここから後述する消耗品費や税金が差し引かれるため、施術時間以外のデザイン作成やカウンセリングにかける時間を含めると、見かけの時給ほど単純に稼げるわけではありません。