長年放置され、真っ黒に変色してしまった汚れはもはや単なる油ではない。熱によって水分と油分が抜け落ち、炭素だけが残った「炭化汚れ」だ。テレビやSNSで絶大な支持を集める洗剤のエキスパート・茂木和哉氏も、この炭化汚れの厄介さについて度々言及している。
炭化した汚れは、中性洗剤や軽度のアルカリ剤では化学反応が起きにくい。茂木氏の知見に基づけば、こうした極限の汚れには「アルカリ剤による長時間の浸透湿布」と「素材を傷つけない微粒子研磨剤」のハイブリッドなアプローチが必要になる。
ペーパータオルに濃いめのセスキ水や専用アルカリ液を染み込ませて焦げ付き部分に密着させ、上からラップを覆って数十分保温する。焦げの結合組織を十分に緩ませてから、丸めたアルミホイルや研磨力の優しい専用パッドで円を描くように優しく削り落とす。汚れの深さに応じた段階的な処置こそが、器具を傷つけずに黒焦げを攻略する唯一の道だ。