本作の真価は、生演奏のステージや劇場空間でさらに際立ちます。石川さゆりは、1987年の『第38回NHK紅白歌合戦』をはじめ、節目となる大舞台で『夫婦善哉』を歌い上げてきました。繊細なウィスパーボイスから力強いこぶしへのダイナミックな変化、そして大阪弁特有のニュアンスを品格をもって届ける技術は、多くの視聴者を唸らせました。
さらに、石川さゆり特別公演などの舞台演劇においても、『夫婦善哉』を題材とした芝居が幾度となく上演されています。歌唱だけでなく、主人公・蝶子さながらの粋で健気な浪花女の生き様を体当たりで演じる姿は、劇場を埋め尽くす観客から絶大な支持を獲得しました。
劇場の現場取材や愛好家のコミュニティでは、「CD音源はもちろん素晴らしいが、劇場やリサイタルで聴く『夫婦善哉』は語りのような生々しさがあり、思わず涙がこぼれる」といった熱烈な反響が数多く寄せられています。単なるメロディの美しさにとどまらず、歌物語としての完成度の高さがロングセラーの原動力となっています。