一通り三枚に卸せたら、いよいよ食卓の華である刺身へと切り出す作業だ。ここで日本調理師連合会に所属する熟練の和食料理人が推奨するのが、「皮引き」と「寝かせ」の技法である。石鯛の皮は非常に強靭なため、包丁の背をまな板に密着させ、皮を引っ張るようにして包丁を滑らせるのが成功のコツだ。
挽きたての身をすぐに食べるのもコリコリとした歯ごたえが素晴らしいが、皮目を炙った「霜降り」にし、冷蔵庫で2〜3日熟成させることで脂の甘みが劇的に引き立つ。薄く引いた身を皿に美しく並べれば、コリっとした食感の奥から上質な脂の旨味が溢れ出し、これまでの魚料理の概念を覆す感動が訪れる。