松岡が創設した編集工学研究所は、彼の没後もその志を継承し、企業ブランディングや都市開発、さらにはAI時代の人間観の再定義に至るまで、多角的なプロジェクトを牽引している。彼らが提示するのは、テクノロジーと人間的思考が対立するのではなく、編集という営みを介して相互に高め合う未来像だ。
AIが瞬時に最適解を出力する現代において、「途中のプロセス」「迷い」「偶発的な出会い」に価値を見出す編集工学の視点は極めて示唆に富んでいる。答えを一つに収束させるのではなく、あえて意味の広がりを許容する柔軟性こそが、これからの出版・メディア産業、そして文化全般に必要な姿勢だからだ。
情報の大海原をただ漂流するのか、それとも自らの編集的意志を持って航海に出るのか。彼が遺した思考のツール群は、時代を超えて私たちに問いかけている。知の巨人が刻んだ伝説の軌跡は、これからを生きる私たちの思考の中で、今なお新しく更新され続けているのだ。 (出典: 松岡 正剛(Yahoo!ニュース))
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