エイベックスが選択したのは「セール・アンド・リースバック」という手法だ。自社ビルを信託受益権として売却しながら、同じ建物のオフィスフロアを賃借してそのまま拠点を維持する。このスキームにより、本社機能やクリエイティブ拠点を南青山に残したまま、数百億円規模の流動資金を手中に収めた。
不動産を所有する企業から、コンテンツを生み出す企業へ。調達された資金は、守りの補填ではなく攻めの投資へと注ぎ込まれた。国内外の有力IPの発掘、最先端スタジオ設備の拡充、グローバル展開を担う若手クリエイターの獲得。固定資産という「静的な富」を、エンターテインメントという「動的なエネルギー」へと変換した瞬間だった。