インターネット上の進路相談掲示板やSNSでは、「専門学校のほうが国家試験の合格率が高いから安心」「大学は勉強が緩いから国試に落ちやすい」といった言説がしばしば飛び交います。しかし、この言説には教育制度上の明確な「統計のカラクリ」が潜んでいます。
公立・私立を問わず、看護専門学校の多くは「合格率100%」を対外的なアピールポイントとして掲げています。その数字を維持するために採られているのが、秋から冬にかけて行われる過酷な卒業判定試験(足切り試験)です。合格ラインに届かないと判断された学生は、国家試験の出願自体を止められるか、留年措置を取られます。つまり、発表されている合格率は「選抜を生き残った受験者のみのパーセンテージ」であり、入学者がストレートで合格する確率(実質合格率)とは乖離がある点に注意しなければなりません。
他方で、入試難易度の指標である偏差値に関しても大きな地殻変動が起きています。少子化に伴い、地方の中小規模な看護専門学校では定員割れや閉校が相次ぐ一方、四年制看護大学の設立ラッシュが一段落し、看護学部の二極化が進行しました。難関国公立大学や有名私立大学の看護学部は偏差値60前後を維持していますが、中堅以下の私立大学看護学部では年内入試(総合型・学校推薦型選抜)での入学者比率が5割を超え、基礎学力の二極化が大学教員の間で懸念されています。「大卒だから安心」「専門学校だから落ちこぼれる」という単純な二元論は、2026年現在の進路選定においては完全に破綻しています。