日仏のランドマークを支えた2人の巨匠の設計アプローチには、各国の環境条件が色濃く反映されています。
フランスの技師ギュスターヴ・エッフェルは、鉄道橋梁建設のスペシャリストでした。風の影響を最小限に抑えるため、部材に隙間を持たせた格子状のトラスを採用し、工場でミリ単位でプレファブ加工された錬鉄パーツを約250万本のリベットで現場固定していく合理的な工法を確立しました。
一方の内藤多仲が挑んだのは、エッフェル塔にはない「巨大地震と猛烈な台風」への対策です。コンピュータが存在しない1950年代、内藤博士は膨大な連立方程式を手計算で解き明かし、風速90m/sの猛烈な暴風や、関東大震災クラス(マグニチュード8級)の直下型地震に耐えうる強度を算出しました。
また、地上数百メートルの高所で命綱もなしに鉄骨を組み立てていった日本の「鳶(とび)職人」たちの驚異的な職人技も、わずか1年半という短期間での竣工を支えた要因でした。