SNSや動画サイト上には「さつまいもは肥料をあげれば甘くなる」「毎日水やりを欠かさないように」といった誤った情報が散見されますが、これらはさつまいも栽培における最大のタブーです。
最も警戒すべき失敗現象が「つるボケ」です。前作の肥料分が残っている畑や、窒素成分の多い化成肥料を過剰に投入した土壌では、さつまいもは「子孫を残す(イモを作る)必要がない」と判断し、つるや葉の伸長ばかりにエネルギーを消費してしまいます。その結果、地中には細い吸収根しか形成されず、収穫期にイモが1本も採れないという事態に陥ります。元肥は基本的に無施肥とし、やむを得ず施肥する場合でも窒素を極力抑え、イモの肥大を促す「カリウム(加里)」主体の配合を選択しなければなりません。
水やりに関しても、植え付けから根付くまでの最初の1週間を除き、露地栽培での日常的な水やりは原則不要です。タキイ種苗の栽培マニュアルが示す通り、さつまいもの塊根が本格的に肥大する7〜10月は、日照が多く適度に乾燥気味な環境であるほどデンプンの蓄積が進み、糖度の高い極上のイモに仕上がります。
また、夏場につるの節から地面に向かって勝手に根が伸びてしまう現象には、定期的な「つる返し」で対処します。畝の外側に伸びたつるを持ち上げてひっくり返し、無駄な不定根を引きちぎることで、主株のイモへ光合成産物を集中させることができます(※黒マルチを畝全体に広く敷き詰めている場合は、つるが土に直接触れないためつる返し作業を省略可能です)。