休日になれば数時間の行列を作っていた人気店が、なぜ大須から姿を消してしまったのでしょうか。取材を進めると、ロールアイス特有のビジネス構造と大須の消費トレンドの変化が浮かび上がってきました。
最大の要因とされているのが「1杯あたりの提供時間(回転率)」の限界です。マイナス10度以下のコールドプレートの上に液状のクリームを流し、薄く伸ばしてからヘラで丁寧に削り取る作業は、職人技としての見応えがある反面、1つのカップを仕上げるのに2〜3分以上の時間を要します。客単価が800円〜900円前後のスイーツにおいて、長蛇の列ができても1日にさばける杯数には物理的な上限がありました。
さらに、大須商店街は全国屈指の「トレンドの入れ替わりが激しい街」です。「動画映え」をきっかけに爆発的なブームを呼んだロールアイスですが、一度体験して写真を撮ると満足してしまうリピート率の低さも影響しました。コロナ禍による食べ歩き需要の一時的落ち込みも重なり、契約更新のタイミングで撤退を決断する店舗が相次いだのが実情です。