諏訪大社上社本宮に本殿がない理由とは?見どころと歴史を徹底解剖

諏訪大社上社本宮に本殿がない理由とは?見どころと歴史を徹底解剖

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一般的な神社建築では、拝殿の奥に神様を祀る「本殿」が鎮座するのが通例です。しかし、諏訪大社上社本宮には独立した本殿の建物が一切ありません。拝殿と幣殿が一体となった「弊拝殿(へいはいでん)」と左右の片拝殿が並ぶのみで、その奥は原生林が広がる山へと続いています。

この特異な構造の根底にあるのは、人工的な社殿が成立する以前の「自然物そのものを神体として祀る古代信仰(アニミズム)」の残影です。上社本宮では、境内の背後に位置する標高1,650メートルの「守屋山(もりややま)」をご神体として仰ぎ、拝殿を通して直接その霊峰を拝礼する「諏訪造り」と呼ばれる独自の様式を守り続けています。

祀られている主祭神は、軍神や農耕・狩猟の神、風水の守護神として名高い建御名方神(タケミナカタノカミ)。古事記の国譲り神話において出雲から諏訪の地へ逃れたと伝えられる神であり、武田信玄をはじめとする歴代の戦国武将からも勝運の神として篤い崇敬を受けました。建物という枠組みを超え、自然界の森羅万象に神性を見出す古代の祈りが、いまもこの空間には息づいています。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。