この異様な現象を激化させている主犯格の一つが、過剰な演出と速報性で視聴率やアクセス数を稼ぐ世論形成メディアの存在だ。凄惨な犯罪や有名人のスキャンダルが発生すると、メディアは被告の「人間性」や「反省のなさに見える態度」を徹底的に叩き上げる。視聴者の感情を極限まで煽り立て、開廷前であるにもかかわらず「有罪」の烙印を押してしまう。
さらに、SNSを中心としたネット私刑(サイバー・リンチ)が拍車をかける。実名や顔写真の暴露、家族への脅迫、職場への突撃など、法の手続きを無視した私的制裁が日常茶飯事で行われている。かつて世間を震撼させた酒気帯び運転事故や児童虐待事件においても、世論の激怒に押された法廷が本来の相場を大きく上回る求刑・判決を下した例は記憶に新しい。もはや判決は、法廷ではなくネット上で下されていると言っても過言ではない。