懸賞の本数は取組の格や注目度によって跳ね上がる。近年、最高位として土俵に君臨する横綱・照ノ富士春雄らの熱戦には、たった一番だけで50本から60本以上もの懸賞が集中する。
仮に1番で60本の懸賞が懸けられた場合、懸賞総額は420万円に達する。勝利した力士の手には、その場で240万円の現金が入った分厚い封筒の束が渡される計算だ。行司の軍配に乗り切らないほどの札束を手刀で切る姿は、まさにプロスポーツ興行としてのダイナミズムそのものだ。
歴代の大横綱たちの中には、1場所で数百本、年間で千本以上の懸賞を獲得した記録も残る。固定給とは別枠で支払われるこの懸賞金は、過酷な稽古に身を削る力士たちにとって最大のモチベーションであり、土俵上の強さをダイレクトに証明する対価なのだ。