他者の顔色を伺い続ける苦しさは、近年のエンターテインメント作品やベストセラー書籍のテーマとしても色濃く反映されている。Netflixで配信され世界的な共感を呼んだドラマ『凪のお暇』は、空気を読みすぎて倒れた主人公が人間関係をすべてリセットする物語だ。視聴者が彼女の葛藤に強く共鳴したのは、誰もが「過度な忖度」の限界を感じている証左だろう。
また、岸見一郎氏と古賀史健氏の共著である『嫌われる勇気』は、オーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラーの思想を平易に解き明かし、時代を超えた定番書として読まれ続けている。最近では通勤中や家事の合間にAmazon Audibleなどの音声メディアで同書を繰り返し聴き返し、他者との境界線の引き方を身体感覚として捉え直そうとするビジネスパーソンも増えた。