『虹』を伝説たらしめた決定的な現場が、2007年の全国ツアー『ARASHI SUMMER TOUR 2007 Time -コトバノチカラ-』のステージです。ステージ中央に置かれたグランドピアノの前に、白シャツと黒い縁の眼鏡姿で静かに座り、見事なピアノの弾き語りを披露した姿は、当時の東京ドームを異様な静寂と熱狂に包み込みました。
そして今も語り草となっているのが、ラスサビ前の静寂の中で見せた「左手でゆっくりと眼鏡を外す」という一瞬のアクションです。会場中から悲鳴のような歓声が上がったこの名シーンについて、なぜ彼は眼鏡を外したのか、その理由には複数の考察が存在します。
- 視覚的フォーカスの移行:眼鏡という「日常のフィルター」を外すことで、楽曲内の世界から目の前にいる数万人の観客へと真っ直ぐ視線を向けるという演出心理。
- 主人公の覚悟の具現化:歌詞のクライマックスで愛を確信する主人公の「虚飾を脱ぎ捨てる心情」を身体的アクションで表現したという解釈。
- 二宮本人の感覚的な舞台勘:「鍵盤を見つめる日常的な青年」から「想いを叫ぶ表現者」へとギアを切り替えるためのトリガー。
計算し尽くされた演劇的アプローチと、その場の空気を感じ取って放たれた天性の直感。その双方が融合したからこそ、あのわずか数秒の仕草はファンの記憶に一生消えない鮮烈な残像として焼き付いたのです。