ネット上の情報やSNSでは、「耳が詰まったらとにかく強く鼻をつまんで息を吹くべき」という誤ったアドバイスが散見されますが、これは耳鼻咽喉科専門医が最も警鐘を鳴らす危険な行為です。
鼻腔内に炎症や粘液が存在する状態で強い圧力をかけて耳抜きを行うと、鼻の奥にいる細菌やウイルスが耳管を通って中耳へ一気に逆流し、激痛を伴う「急性中耳炎」を併発するリスクが跳ね上がります。また、陰圧で薄くなった鼓膜の一部が無理な内圧によって裂け、鼓膜穿孔(穴が開くこと)を引き起こす事故も後を絶ちません。
さらに、「耳の詰まり=耳垢の詰まり」と勘違いして綿棒や耳かきで外耳道を過度に擦り、外耳炎を併発して事態を悪化させる例も頻発しています。閉塞感の原因が外耳(耳の穴)ではなく、鼓膜の奥にある耳管と中耳腔にあることを正しく認識することが重要です。
【プロの結論】受診を急ぐべき人・セルフケアで様子見できる人の判断基準
耳の違和感に直面した際、自分がどの対応をとるべきか判断するための明確な基準を提示します。
【直ちに耳鼻咽喉科を受診すべき人】
- 耳の閉塞感だけでなく、明らかな「聞こえの悪さ(難聴)」や「キーンという耳鳴り」、「回転性のめまい」を伴っている(突発性難聴やメニエール病など、発症後48時間以内の治療開始が聴力予後を左右する急性疾患の除外が必要)。
- 風邪が治ってから2週間以上経過しても耳の詰まりが全く改善しない。
- 耳の奥にズキズキとした強い痛みがある、または微熱を伴っている。
- 過去に中耳炎の手術歴や鼓膜穿孔の既往がある。
【数日間セルフケアを行いつつ様子見してよい人】
- 風邪を引いた直後、あるいは花粉症の発症と同時に耳の詰まりが始まったばかり(発症後数日以内)。
- 難聴やめまい、耳鳴りは一切なく、唾を飲み込んだときにわずかに耳の奥で「パチッ」と音がして気圧が変わる感覚がある。
- 前屈姿勢をとっても症状が変わらず、痛みを伴わない軽微な違和感のみである。