岡田悟のエンジニア人生を語る上で欠かせない存在が、「枯れた技術の水平思考」を提唱した伝説の技術者・横井軍平だ。任天堂の開発第一部において、師であり上司でもあった横井と岡田は、時に激しく火花を散らしながらプロダクトを磨き上げた。
アイデアと直感を最優先する横井に対し、岡田は徹底的な技術検証と構造的合理性を重視するエンジニアとしての矜持を持っていた。ゲームボーイの開発過程においても、液晶画面の視認性や電池駆動時間をめぐり、二人の意見が真っ向から対立することは珍しくなかった。しかし、単なる反目ではない。横井の哲学を技術の側から泥臭く具現化し、実現可能な製品へと落とし込んだのは他ならぬ岡田悟だったのだ。師への深い敬意を持ちつつも、技術者としての妥協を許さない厳しさが、世界的ハードの品質を支えていた。