ネット上の簡易解説サイトなどでは「一覧図さえあればすべての相続手続きが完璧に終わる」といった誇大表現が見受けられますが、法務実務には見落としてはならない厳格な例外と盲点が存在します。
盲点1:相続放棄をした人も一覧図には「相続人」として記載される
家庭裁判所で正式に相続放棄の手続きを完了した相続人がいる場合でも、法務局に提出する法定相続情報一覧図には相続人としてそのまま記載されます。一覧図はあくまで「戸籍上、誰が法定相続人であるか」を客観的に証明する図面であり、誰が権利を放棄したかという民法上の個別事情を証明するものではないためです。したがって、銀行口座の解約や不動産登記の際には、一覧図に加えて家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」をセットで提出しなければ手続きは通りません。
盲点2:相続人の廃除や欠格がある場合の記載制限
被相続人を虐待していたなどの理由で家庭裁判所から「推定相続人の廃除」を受けた者は、戸籍そのものに廃除の記載がなされるため、一覧図には相続人として記載されません。この場合は代襲相続人の記載が必要になるなど、図面の構造自体が複雑化します。
盲点3:一度交付された一覧図の訂正は原則不可
一覧図の写しが手元に届いた後で、「相続人の住所に誤字があった」「記載漏れの相続人がいた」と気づいても、法務局にペンで直してもらうような訂正手続きは存在しません。誤りを正すには、再度最初から戸籍や住民票を添付して新しい申出を行わなければならないため、申出書を投函する前のセルフチェックが成否を分けることになります。