企業の現場担当者が最も足をすくわれやすいのが、法的拘束力を持たないはずの「行政指導」と、地域ごとに異なる「自治体条例」の存在だ。行政法上、行政指導に強制力はない。相手方が従わないからといって直ちに罰則を科すことは禁じられている。だが、指導を軽視した結果として許認可の更新審査が長期化したり、事実上のレピュテーションリスクに直面したりする事例は枚挙にいとまがない。
また、最高裁判所の判例でも確立されている通り、地方自治体は国の法律の枠組み内でより厳しい上乗せ規制(上乗せ・横出し条例)を制定できる。環境保全や景観規制、民泊や再生可能エネルギー設備の設置規制などがその代表例だ。国の法律だけをチェックして安心し、現地条例の確認を怠ったために操業停止に追い込まれる事態は、まさに実務における典型的な盲点である。