医師免許を持つエリートでありながら、経済面における法医学者の年収は、臨床医と比較して決して恵まれているとは言えません。
法医学者の多くは大学の教官(教授、准教授、助教など)として雇用されており、その給与体系は大学の規定に準じます。大まかな年収の目安は以下の通りです。
・助教・助手クラス:年収500万〜750万円前後
・准教授・講師クラス:年収800万〜1,000万円前後
・教授クラス:年収1,000万〜1,300万円前後
一般の臨床医であれば、夜間当直手当や外来手当、手術手技料、自由診療のインセンティブなどで年収1,500万〜2,000万円以上を稼ぎ出す医師も珍しくありません。しかし、法医学者は患者を診るわけではないため保険診療の加算がつかず、警察から大学に支払われる解剖謝金も直接の個人収入には直結しにくい仕組みになっています。
「人の命を救う臨床」に対して「亡くなった人の尊厳と社会の安全を守る法医学」という崇高な使命感がある一方で、金銭的なリターンが見合いにくい構造が長年の懸念事項として横たわっています。