飯田洋輔のキャリアを語る上で欠かせないのが、その圧倒的な声楽的バックボーンです。東京藝術大学音楽学部声楽科で学んだクラシックの基礎に裏打ちされた響きは、単なる美声にとどまらず、劇場空間の隅々まで無理なく浸透するドラマティックな響きを持っています。
劇団四季在籍時代には、声種(声域)の広さと深い人物造形力を武器に、以下のような金字塔となる役柄を歴任しました。
- 『オペラ座の怪人』(ファントム役・ラウル役):青年貴族ラウル役から、怪物の孤独と激情を歌い上げるファントム役へと登りつめました。低音の重厚さとハイバリトン〜テノールの高音域を完璧にコントロールした歌唱は、歴代屈指のファントムと称賛されました。
- 『キャッツ』(オールドデュトロノミー役、アスパラガス=グロールタイガー役、バストファージョーンズ役):劇場の長老猫が見せる包容力あふれる温かな歌声から、老優劇団猫の哀愁までを演じ分け、物語に精神的な重みをもたらしました。
- 『美女と野獣』(ビースト役):野獣の荒々しさと内面に秘めた繊細な愛を、叙情的なアリア『愛せぬならば』で見事に昇華させました。
- 『ジーザス・クライスト=スーパースター』(ピラト役、カヤパ役):複雑な政治的苦悩を抱える総督ピラトや、冷徹な祭司長カヤパを重低音の響きで厳格に演じ切りました。
これらの難役を次々と成立させた実績こそが、現在のソロ活動においても業界内外から絶対的な信頼を寄せられる根拠となっています。