広島の街を歩けば、野球場や公園、新幹線の車内など、至る所で緑色のロゴが入った包み紙を見かける。広島市民にとって、お祝い事から日々のランチ、行楽のお供に至るまで、生活の節目に必ず寄り添ってきたのが「むすびのむさし」のお弁当だ。地元で単なる弁当を超えた「広島ソウルフード」として不動の地位を築いている。
その人気の真相は、冷めた状態こそが完成形という計算し尽くされた味付けにある。創業以来守り続けられている秘伝の出汁と塩加減は、出来立ての温かさではなく、冷めてから米の甘みが引き立つように緻密に設計されているのだ。一度口にすれば、他の弁当とは一線を画す奥深い味わいの虜になるだろう。