耳の圧迫感を解消し、中耳に空気を通す「耳抜き」にはいくつかの段階があります。耳が少し詰まった程度の初期段階と、強い圧迫感が生じた段階でアプローチを使い分けることが肝要です。
軽度の違和感であれば、耳管周囲の筋肉を動かす動作だけで十分に開放できます。機内サービスで配られる飴を舐めたりガムを噛んだりして唾液の分泌を促し、意識的につばを飲み込む(嚥下運動)のが最も安全なアプローチです。また、下顎を前に突き出すようにしながら大きく「あくび」をする動作も、耳管咽頭口を広げる高い効果があります。
唾液の嚥下やあくびでも耳の詰まりが抜けない場合は、ダイバーやパイロットも実践する「バルサルバ法(Valsalva maneuver)」を行います。ただし、やり方を誤ると鼓膜や内耳を痛める危険があるため、正しいステップを厳守してください。
【安全なバルサルバ法の正しいやり方】
1. 息を軽く吸い込み、口をしっかりと閉じる。
2. 鼻翼(小鼻)を指で隙間なくつまみ、鼻からの空気の抜け道を完全に塞ぐ。
3. 鼻をかむ要領で、「優しくフッと2〜3秒間」息を鼻の奥へ送り込む。
4. 耳の中で「ツッ」あるいは「ペコッ」と鼓膜が動く音がしたら直ちに息を止める。
5. 最後に唾液を一度ごくりと飲み込み、中耳の圧力を自然な状態へ馴染ませる。
ここで絶対に避けるべきなのは、「力任せに強く息を吹き込むこと」です。強圧で息を送り込むと、鼓膜の微小血管が破裂したり、内耳の窓が傷ついて「外リンパ瘻(ろう)」という重篤なめまい・難聴を引き起こす恐れがあります。あくまでも「柔らかく短く」圧をかけるのが鉄則です。