本作のバックボーンにあるのは、一時代を築いたレッド・ホット・チリ・ペッパーズの代表曲『Californication』が提示した退廃的な世界観だ。ハリウッドという欲望の集積地が持つ狂気、テクノロジーへの依存、そして崩壊していく文明の美しさと脆さ。これらがスクリーン上で濃厚なダークファンタジーとして立ち上がってくる。
物語の舞台は、過度なデジタル化によって現実と虚構の境界が消滅した近未来のロサンゼルス。そこで誕生する「最初のユニコーン」は、純粋性の象徴であると同時に、世界を再構築するか壊滅させるかの鍵を握る存在として描かれる。音楽ファンなら誰もが知るあの歌詞の一節一節が、見事なまでに緻密な物語の伏線として再構築されている点には目を見張るものがある。