皇室における正月の儀礼は、古くから厳格なしきたりとともに継承されてきた。徳仁天皇が即位されて以降も、新年の平安と五穀豊穣を祈る宮中祭祀の厳かな精神は変わらない。宮内庁の大膳課が司る宮中晩餐会や新年の饗宴で供される料理は、日本古来の有職故実に基づいた純粋な美しさを湛えている。
ユネスコ無形文化遺産に登録された和食(無形文化遺産)の原点ともいえる宮中料理の作法。それは過度な調味を排し、食材そのものが持つ滋味を極限まで引き出す引き算の美学だ。一般には決して公開されることのない献上料理の技法や配膳の妙は、ごく一握りの老舗料理人たちによって脈々と受け継がれ、今のお重の中に息づいている。