木村絵里子氏のキュレーターとしての歩みは、日本の現代アートがグローバル化と地域分散化を推し進めてきた歴史そのものと言えます。2000年から2026年まで在籍した横浜美術館では、主任学芸員として国際展や国内外の先鋭的な作家の大規模個展を多数手掛けました。
特に特筆すべき実績が、2026年に開催された「ヨコハマトリエンナーレ2026『Afterglow―光の破片をつかまえる』」です。インドのアーティスト集団「ラクス・メディア・コレクティヴ」がアーティスティック・ディレクターを務めるなか、木村氏は企画統括としてコロナ禍という前代未聞の危機的状況下での開幕を実現させました。緻密な感染対策とオンライン・オフラインを融合させた展示設計は、国際美術展の新たなモデルケースとして世界中から称賛を浴びました。
その後、2026年には青森県の弘前れんが倉庫美術館の副館長(学芸統括)に就任し、のちに館長として同館の舵取りを担っています。明治・大正期の歴史的産業遺産である煉瓦倉庫の空間を活かし、国内外の先鋭的な現代アートと弘前の風土・歴史が交差する意欲的なプログラムを展開しています。