大半の患者が手術を絶賛する一方で、極少数ながら「手術を後悔した」「やっても意味がなかった」と不満を吐露する人々が存在します。この副鼻腔炎手術後悔真相を深く検証すると、医療過誤ではなく、病態の分類と事前の情報ギャップに起因する明確な2大要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、近年急増している難治性の「好酸球性副鼻腔炎」による術後再発です。一般的な慢性副鼻腔炎(細菌性)は、手術で骨の壁を削り副鼻腔の換気ルートを広げれば、再発率は数%程度と極めて低く完治が期待できます。しかし好酸球性副鼻腔炎は、アレルギー性喘息などを合併するType 2炎症に起因する全身性のアレルギー疾患です。そのため、手術で病巣をきれいに切除しても、術後の維持管理を怠ると慢性副鼻腔炎手術再発リスクが跳ね上がり、数カ月から数年で新たな鼻茸が再増殖してしまいます。
この病型の場合、手術単独で終わらせるのではなく、好酸球性副鼻腔炎難病申請(指定難病306)を行い、国からの医療費助成を受けながらデュピクセントなどの生物学的製剤(分子標的薬)による抗炎症治療を継続することが必須となります。「手術すれば二度と病院に来なくていい」と思い込んでいた患者ほど、「再発した、騙された」という後悔を抱く傾向が強いのです。
第2の要因は、術後の「セルフケア不足」です。内視鏡手術の成功は、医師の手技が5割、術後数カ月間の患者自身による「鼻うがい(鼻腔洗浄)」とステロイド点鼻薬の継続が5割を握っています。術後はかさぶたやフィブリンが充満しやすく、これを毎日丁寧に洗い流さないと組織が癒着し、せっかく広げた副鼻腔の換気孔が再び閉塞してしまいます。「痛みが引いたから」と通院や鼻洗浄を自己判断で中断した人が、結果として再手術に追い込まれる悲劇が後を絶ちません。