伏見稲荷大社の代名詞ともいえる「千本鳥居」。境内に一歩足を踏み入れると、鮮烈な朱塗りの鳥居がどこまでも続く光景に圧倒されます。この無数の鳥居が立ち並ぶ理由は、単なる装飾ではなく、人々の切実な祈りと感謝の積み重ねにあります。
発端は江戸時代、参拝者たちが「願い事が通るように」あるいは「願いが通った御礼」として鳥居を奉納する風習が広まったことに由来します。主祭神である宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)は、もともと五穀豊穣の神として信仰されていましたが、時代とともに産業や商取引が発展するにつれ、商売繁盛・家内安全・諸病平癒の守護神としても広く崇敬を集めるようになりました。
現在、稲荷山全体に立つ鳥居の数は1万基以上にのぼります。鳥居の奉納は個人・法人を問わず現在も受け付けられており、サイズ(号数)によって費用が異なります。小型の5号サイズ(約20万円台)から、参道の主要部に建つ大型の10号サイズ(約130万円以上)まで設定されており、裏面には奉納者の氏名や企業名、奉納年月日が刻まれる仕組みです。