SNSやクリエイター掲示板などでは、「トレス素材を使うと画力が落ちるのではないか」「手抜きだと思われないか」という議論が定期的に巻き起こります。実際の現場ではどのように受け止められているのでしょうか。
現役のプロイラストレーターや同人作家への取材・コミュニティの意見を総合すると、評価は明確に二分されています。
否定派の主な意見としては、「素材のポーズにキャラクターを無理に当てはめるため、キャラ特有の性格や動きのニュアンスが失われる」「同じ素材を使った他人のイラストと被ってしまい、オリジナリティが薄れる」というクオリティ面での指摘が目立ちます。
一方で肯定派・プロ現場の意見は実利に基づいています。「商業の現場で最も重視されるのは納期とクオリティの安定性。構図アタリを効率化し、その分フェイシャル(表情)の描き込みや彩色、ライティングに時間を割くのは合理的な判断」「複数人の複雑な重なり合いを学ぶための教材として最適」という声が圧倒的多数を占めます。
つまり、トレス素材を「完成品をそのままなぞるだけの手段」とするか、「構図の破綻を防ぎ、演出を強化するためのガイド(足場)」とするかによって、得られる結果と評価は180度変わるのが実態です。