ネット検索やSNS上で頻繁に飛び交う福塩線の廃線危機に関する噂ですが、結論から言えば「路線全体が直ちに廃止される」という話ではありません。危機に瀕しているのは、全区間78.0kmのうち山間部を走る特定のローカル区間です。
JR西日本が開示した線区別収支データおよび輸送密度(1日1キロあたりの平均通過人員)によると、福山〜府中間の輸送密度が数千人規模を維持しているのに対し、府中〜塩町(三次)間の輸送密度は200人/日未満と極めて深刻な水準に落ち込んでいます。JR西日本が「自社単独での維持が困難」として協議を求める基準(輸送密度2000人/日未満)を大幅に下回っており、100円の営業収益を得るために数千円の経費がかかる営業係数の赤字構造が続いています。
このデータを受け、国土交通省の地域公共交通再構築指針に基づき、沿線自治体(福山市、府中市、三次市、庄原市など)とJR西日本による福塩線存廃問題に関する協議会や勉強会が重ねられています。自治体側は高校生の通学や高齢者の通院手段としての鉄路維持を強く要望する一方、事業者側は持続可能な公共交通体系への移行を求めており、まさに存亡の境界線に立たされています。