永田町と霞が関で激しい議論が交わされた末、決定打となったのが「令和8年度税制改正大綱」だ。石破茂首相が率いる政権は、少子化反転に向けた「次元の異なる子育て支援」の看板を掲げ、児童手当の高校生までの支給拡大と所得制限の撤廃を打ち出した。しかし、その裏で財務省が強力に推進したのが、所得税法に基づく控除制度の縮小である。
国税庁の税収構造を維持しつつ社会保障給付を膨らませる設計は、実質的な「給付と控除のバーター取引」に他ならない。児童手当として毎月1万円(年12万円)が支給される一方で、課税所得から差し引かれていた控除額が削られるため、額面上の手当と税負担の増加が相殺される構図が浮き彫りになっている。
特に高所得層や自治体の独自助成を受けている層にとっては、税率の高さゆえに控除縮小の打撃が大きく、手当の給付額を上回る増税負担を強いられる逆転現象すら懸念されている。手放しで喜べる子育て支援とは程遠い、シビアな現実がそこにある。